奥田民生×岡崎体育 楽演祭 Vol.5レポート
<エンタテインメント>と<エデュケーション>が融合した音楽イベント「楽演祭 VOL.5」が2020年1月24日(金)、昭和音楽大学で開催された。今回の出演は“奥田民生×岡崎体育”。初代OT(奥田)、二代目OT(岡崎)による「音楽と初期衝動」をテーマにした講義、そして、ソロアーティストとしての個性とエンタメ性がたっぷり詰まった両者のライブパフォーナンスが繰り広げられた。
第5回は“初代OT(奥田民生)×二代目OT(岡崎体育)によるコラボステージ!
音楽ジャーナリストの柴那典氏の進行で行われた講義の最初のテーマは、「ミュージシャンを目指すきっかけとなった音楽」。奥田はThe Beatlesのベスト盤“赤盤”“青盤”、KISSのベスト盤「Double Platinum」を紹介し、「The Beatlesを知ったきっかけは、小学校の頃、夏休みにやっていたアニメ版のビートルズ(『The Beatles Cartoons』)。KISSはギターを始めてから聴いたんですけど、ビジュアルと裏腹にオーソドックスなロックンロールが多いので、わりと弾きやすかったんですよね」と音楽に興味を持った時期のエピソードを披露した。
岡崎はQueenの「Sheer Heart Attack」、SUM41の「Does This Look Infected Too?」、「ポケモン言えるかな?」とバラエティに富んだ3作を挙げ、「Queenはもともと母親が好きで、聴かされてるうちに僕も好きになりました。『ポケモン言えるかな』は、小学校の頃、全部歌えたらすごいという風潮があって(笑)。SUM41は中学生の頃、クラスのヤンキーに教えてもらったんですけど、めちゃくちゃカッコよくて衝撃を受けましたね」と“音楽との出会い”を語った。
また「ライブを観て感動したアーティスト」という話題も。奥田が初めてライブを観たバンドは、ダウンタウン・ブギウギ・バンド。「不良っぽいバンドが流行っていたんだけど、革ジャンのキャロルに比べて、“つなぎ”を来たダウンタウン~は庶民的で親しみがあったんですよ」と、その魅力を紹介。さらにヘビィメタルの代表的存在であるLOUDNESSの名前を挙げ、「高崎晃さんの速弾きギター、二井原実さんのハイトーンのボーカルを聴いて、“自分にはできない”と思った」とコメントした。岡崎のライブの原点は、学生時代にサマーソニックで観たというEnter Shikari。「バンドの音にシーケンスの音がプラスされていて、“どうやって音を出しているんだ?”と衝撃を受けましたね。やんちゃなステージを観て“こんなに暴れていいんや?”ってビックリしたり、まさに自分の初期衝動です」と語った。
“音楽制作”をテーマした興味深いトーク
“音楽制作”のテーマでも、興味深いトークが展開された。その中心は“アナログとデジタル”だ。学生時代からバンド活動を行いつつ、MTRを使って多重録音で音源を作っていたという奥田。そして、「ベースが欲しくて楽器屋にいったら、なぜかDTMの機材を買ってしまい、そこから宅録するようになった」という岡崎。音楽のスタイル、制作の方法はまったく違うが、音に対するこだわりの強さは共通しているようだ。
「最初のアルバム(『BASIN TECHNO』)は、ミックス、マスタリングまで自分でやって。“メジャーでもこれでOKなんや”ってビックリしました(笑)。デビューしてからは、生音のレコーディングも増えましたね。微妙な音の強弱、ちょっとしたノイズなどはデジタルで表現しきれないし、アナログの良さに気づくことも多くて。いろいろと試すのも面白いんですよ。『何をやってもあかんわ』という曲では、地元の友達に頼んで、“腹太鼓”の音を録ったり(笑)」(岡崎)
「そんなことで人を呼ぶなよ(笑)。でも、飽きないようにするのは大事だし、身近なものを使って音を録ることもありますね。折り畳み傘の袋をこすったり、電話帳を叩いたりして、“なんちゃってドラム”の音を作ったり」(奥田)
(この後、井上陽水の「MUSIC PLAY」のドラムは、奥田が“なんちゃってドラム”で作ったことを明かし、驚きの声が上がった)
ダブルOTの音楽的ルーツ、音楽を始めたきっかけ、サウンドメイクに対する考え方が実感できた90分
講義の終盤には、「夢を叶えるために大事にしていること」という質問も。
「夢や目標がなかったんですよ。いろんなところで演奏して暮らしたいというだけで。1日1日、与えられたことをやるのがモットーなので(笑)」と奥田が答えると、岡崎は「そうやって自分がやりたいことをやって、たくさんの人が知ってもらえるのが理想。ミュージシャンは奥田民生になるのが夢なんです」と返す。また岡崎は「僕は7年間、さいたまスーパーアリーナでワンマンライブをやるという夢を持って活動してきて、去年、それが実現して。やりたいことや夢を持ってる人は、なるべく人に入ったり、SNSなどで発信したほうがいいと思います」と、自らの体験を踏まえてコメント。奥田民生、岡崎体育の音楽的ルーツ、音楽を始めたきっかけ、サウンドメイクに対する考え方などが実感できる、意義深い90分だった。
ダブルOTによるスペシャルな一夜がスタート!
“奥田民生×岡崎体育”のライブは、昭和音楽大学の構内にあるテアトロ・ジーリオ・ショウワで開催された。柴氏が“エデュケーション”と“エンターテインメント”、教育とライブが融合した「楽演祭」の趣旨を説明した後、まずは岡崎が登場。アグレッシブなヒップホップ・チューン「R.S.P」でシックな雰囲気の会場をいきなりダンスフロアに変貌させる。「僕とジャンケンして、勝った人だけで踊ってください! 負けと“あいこ”は椅子にすわって!」というMCも楽しい。
さらに、“体育の日”が“スポーツの日”になることの悲しみを歌った「さよなら体育の日」、“やたら長くて複雑なフレーズでコール&レスポンスを試み、観客が歌えない状況を残念がる”という演出を取り入れた「Call On」(「ぜんぜん違う! 音大生、しっかりせえ!」というMCで爆笑が起きた)など、岡崎体育にしか体現できないステージが続く。軸になっているのはもちろん、楽曲のクオリティの高さと圧倒的な個性に裏打ちされたパフォーマンス。ダンスもラップも歌もキレキレだ。
切ないバラードを気持ちよさげに歌い上げていると、「おい! ちょっと音楽大学で講義したからっていい気になってんちゃうぞ」「どうすんねん、この空気」と心の声がツッコミを入れる「Voice of Heart2」、「大学生の頃に感じていたことにちょっと脚色を加えて曲にしました」というギターロックナンバー「鴨川等間隔」で音楽性の広さを示した後、ライブは終盤。「XXL」「The Abyss」と超アッパーなダンスチューンを連発し、爆発的な盛り上がりを生み出す。「ひとりで家で作った曲を聴いてくれる人がいて。頷いてくれたり、歌ってくれたり、踊ってくれたりするのが幸せです!」という言葉も強く心に残った。
“奥田民生×岡崎体育”のライブは、昭和音楽大学の構内にあるテアトロ・ジーリオ・ショウワで開催された。柴氏が“エデュケーション”と“エンターテインメント”、教育とライブが融合した「楽演祭」の趣旨を説明した後、まずは岡崎が登場。アグレッシブなヒップホップ・チューン「R.S.P」でシックな雰囲気の会場をいきなりダンスフロアに変貌させる。「僕とジャンケンして、勝った人だけで踊ってください! 負けと“あいこ”は椅子にすわって!」というMCも楽しい。
さらに、“体育の日”が“スポーツの日”になることの悲しみを歌った「さよなら体育の日」、“やたら長くて複雑なフレーズでコール&レスポンスを試み、観客が歌えない状況を残念がる”という演出を取り入れた「Call On」(「ぜんぜん違う! 音大生、しっかりせえ!」というMCで爆笑が起きた)など、岡崎体育にしか体現できないステージが続く。軸になっているのはもちろん、楽曲のクオリティの高さと圧倒的な個性に裏打ちされたパフォーマンス。ダンスもラップも歌もキレキレだ。
切ないバラードを気持ちよさげに歌い上げていると、「おい! ちょっと音楽大学で講義したからっていい気になってんちゃうぞ」「どうすんねん、この空気」と心の声がツッコミを入れる「Voice of Heart2」、「大学生の頃に感じていたことにちょっと脚色を加えて曲にしました」というギターロックナンバー「鴨川等間隔」で音楽性の広さを示した後、ライブは終盤。「XXL」「The Abyss」と超アッパーなダンスチューンを連発し、爆発的な盛り上がりを生み出す。「ひとりで家で作った曲を聴いてくれる人がいて。頷いてくれたり、歌ってくれたり、踊ってくれたりするのが幸せです!」という言葉も強く心に残った。
【Vol.5 セットリスト】
1.Open (岡崎体育)
2.R.S.P(岡崎体育)
3.体育の日のままでええやん(岡崎体育)
4.Call on(岡崎体育)
5.Voice Of Heart2(岡崎体育)
6.鴨川等間隔(岡崎体育)
7.XXL(岡崎体育)
8.The Abbys(岡崎体育)
9.俺のギター(奥田民生)
10.働く男[ユニコーン] (奥田民生)
11.白から黒(奥田民生)
12.The STANDARD(奥田民生)
13.風は西から(奥田民生)
14.さすらい(奥田民生)
【アンコール】
15,FRIENDS(岡崎体育, 奥田民生)
16.イージューライダー(岡崎体育, 奥田民生)