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【楽演祭VOL.3】スキマスイッチ×和田唱(TRICERATOPS)講義全文公開

スキマスイッチの大橋卓弥さん、常田真太郎さん、そしてTRICERATOPSの和田唱さんを迎えての楽演祭VOL.3の講義。 テーマは「音楽プロデュース」について。一口に「音楽プロデュース」といっても関わり方は様々。 スキマスイッチ、和田唱さんにおいての音楽プロデュースについて訊いてみました。

スキマスイッチがリスペクトするTRICERATOPSの曲

――ちなみに、ほかにもお互いリスペクトする曲を挙げてもらったんですが、スキマスイッチがリスペクトするTRICERATOPSの曲とは。「if」に続き、「彼女のシニヨン」。これはコードとかメロディとかに大橋さんは衝撃を受けた?
大橋:そう、だから「if」も当時衝撃を受けましたね。なんて秀逸なコード進行、そこに乗るメロディ。「彼女のシニヨン」はその真逆というかね、僕は聞いていて、こんなハッピーなメロディで、「♪あらわれ~た~」の追っかけコーラスとか。
和田:そう、だから、ほんとに、結構迷って、《演奏&コーラスを実演》って、こういうコーラスにしたんですよ。
大橋:聞いてるだけでハッピーになるんですよ。だからすごい言葉悪いけど、ものすごいバカっぽいわけですよ。
和田:そうそう、だから俺も、ギリギリのところをいったの。こんな、追っかけコーラスなんてはっきり言ってダサい。ダサいけど、でも、昔のロックにはいっぱいあった。
大橋:あったし、やっぱりね、僕はビートルズを感じたんですよ。
和田:そう、ビートルズもいっぱい追っかけコーラスってのあるから、あえてこれをこの時代にね、97年の曲ですけど、あえて、その時代にはそんなのみんなやってなかったけど、自分が好きなロックの手法を今の日本語でやったら新しいものになるんじゃないかな、と思って。
大橋:僕もビートルズファンクラブ入ってましたから、これも聞いた時に、「I’m Down」とかね、
和田:そう、ほんとにそう。
大橋:なんかあのロックのさ。
《「彼女のシニヨン」を和田さん演奏》
和田:っていうね、こういう追っかけコーラスがあるんですけど。
大橋:あの感じを思い出した。
和田:まさにその感じを日本語でちょっと自分たち流にやってみようと思ったのがあの曲です。
大橋:ものすごいよく聞いた。これも余談ですけど、奥田民生さんが、「ひとり股旅」ってツアーをやったときのドキュメンタリー、ロードムービーみたいになってるんですよ。車の移動の中で、「彼女のシニヨン」を歌ってるんですよ。
和田:あぁ、あったね。
――多分同じようなところに反応して。
大橋:民生さんビートルズ好きだから、同じところに惹かれてるんですよね。
――そして常田さんのほうは、「FEVER」を挙げている。四つ打ちってところを。
常田:そう、今のあらゆる若手のバンドがやっている四つ打ちっていうのを、僕のイメージだと明らかにTRICERATOPSが始めたっていうのが強くて。
和田:そんなそんな。

――時代的にはウルフルズかTRICERATOPS。
和田:あぁ、「ガッツだぜ‼」もね、たしかに。
常田:ただ、「ガッツだぜ‼」はディスコサウンドとは違うんですよ。ダンスミュージックじゃなくロックとして消化してる感じが、当時びっくりして。そしてアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)も出てきて、四つ打ちロックみたいなのが流行る感じになって。だからこそスキマスイッチでは絶対やらねえと思ってて。四つ打ちはやんねえぞ、って。
大橋:僕は四つ打ちすごく好きなんですよ。単純に盛り上がるし、ダンサブルな感じになるし。だから徐々に徐々に促すっていうかね。四つ打ちそろそろいいんじゃないの?みたいな。
常田:(笑)。落ちサビとかね。落ちサビ嫌いなんです、僕。
大橋:だから、二人で曲も詞も書くので、ここのオーディションが一番厳しくて。ちょっとこれ四つ打ちにしたいんだけど、って言って、いや四つ打ちはやらないよ、って言われるとそこで却下だから。逆に僕もシンタくんが作ってきたものに対して、いやそれが違う、って言うし。それは徐々に、なんていうか……、だからウチも四つ打ちできるようになって、めちゃめちゃハッピーですよ。
――(笑)。
常田:でも、四つ打ちと言えば、このイメージが強かったんです。躍らせロック、っていうのは。
――今のバンド好きな人はこれを聞くと、なるほどここから始まったんだ、って。
和田:今のみんなメモっておいてね(笑)!
――(笑)。
常田:和田唱が作った。
――「ロケットに乗って」のメロディラインとかリフもいいですよね。
常田:スキマスイッチ基本的に、アコギとピアノで曲作ってて、で、僕なんかPCベースで作ってるんで、アレンジとしてとらえて曲を作るんですけど、リフものがとても少ないんですよ。
和田:リフね、ひとつのフレーズの繰り返しね。
常田:ちょっと「ロケットに乗って」のリフ弾いてもらっていいですか?
和田:リフってのはつまり、繰り返しの…《演奏》
常田:これが始まったときに、きたー!ってなるんですよ。
和田:で、ここに歌が乗ると。
常田:ずっと同じことやりながらね。
和田:変わらないっていう。
――さっきTRICERATOPSで、「if」はモータウンよりでおしゃれなコード作ってる曲もあるけど、こういうロックンロールのリフの曲もあると。
常田:そのリフがまた、歌詞とかメロディに合ってるっていうのがすごくかっこよくて。CMで聞いたときにすごくインパクトがあって、かっけー!って。
大橋:単純にリフ弾きながら歌うたってる、要は、手と口が全然違うことやってるわけですよ。そこに対する憧れとかかっこよさもあるしね。
和田:あぁなるほど。
常田:さっき出たレニー・クラヴィッツも。
和田:いっぱい褒めてくれて嬉しい日ですねえ。

和田唱がリスペクトするスキマスイッチの曲

――じゃあ、和田さんがリスペクトするスキマの曲も。「雨待ち風」。
和田:僕があげさせていただいたスキマの曲は、まぁ、ここで「奏(かなで)」とかね、それこそ「全力少年」とか、あまりにど真ん中すぎるので、あえてちょっと外したんだけど、どう? ちょっと外せてる?
常田:ありがとうございます。
大橋:外しすぎでしょ、マニアックだよこれ。
和田:そんなのがいいかなと思って、あえてちょっと外し気味でいったんですけども。例えばこの雨待ち風は、ここに書いてある通り、きゅーんとなる。きゅーんとなるのが僕好きですね。やっぱJポップのサビって、こうやってコードがジャーンジャーンジャーンってすぐ変わってくものが多いでしょ? この曲はサビは、ちょっとステイするでしょ。
常田:Aメジャーですね。
和田:あれがいいんだよね。あそこ、僕そういうのすごく好きで。
常田:なるほど、さっきの話と同じですね。
――そうですね。意外と和田さんの好みとして、コードが変わらないまま曲が流れていく。
和田:もともと洋楽が好きなので、そういう。向こうの曲ってそんな変わらないじゃん、コード。そういうのにグッとくるってのがあるのかな。あとやっぱ、独特だよね、メロディが。次がちょっと想像できない感じがあって。
常田:浮遊感もある。
――「デザイナーズマンション」とかも、スキマスイッチらしさみたいなものにあんまりとらわれてないというか。
和田:「デザイナーズマンション」はかなりおしゃれですよ。
大橋:コードこそおしゃれですけど…。
和田:そこがね、僕がさっき言った、汚しが入ってるんですよ。歌詞がめちゃくちゃ、歌詞で汚しが入ってる。別に汚れたことを歌ってるんじゃないですよ、そうじゃなくて、ひたすら、デザイナーズマンションについて歌ってるんですよ。代官山に住もう、見てくださいこれ、この歌詞をね、ひたすらおしゃれなソウルミュージックにのせて歌う。
大橋:なんかね…《演奏してみせる》
常田:これもリフだね。
和田:これリフじゃん、この曲。
大橋:《演奏》
和田:コードが一緒。
常田:ずっと一緒。
大橋:これね、なんか作ったときに、とにかく二人で打ち込みを解禁して、今までは生の楽器しか使わないことにこだわりを持ってやってたのが、もうガラッと、もう打ち込み使っちゃおうぜ、って。それもだから、徐々にスキマスイッチが、どちらかが促して、こだわりを…。だからあとね、この歌詞なんかは、単純に、なんでもいいなと思って。なんでもいいなというのは、別になんでもよくないんですよ。スキマスイッチってきれいなラブソングとかちょっとサバイバーな曲を歌ってるってイメージをもたれてるんじゃないかな、って…。

和田:俺もそう思ってたんだもん。
大橋:そうそう。そんなことないぜ、っていう。
常田:反骨心だよね。
大橋:そうそう。アンチみたいな気持ちもあって。
和田:出てるよ。これは結構びっくりだもんね。
大橋:これはでもほんとに自分の知り合いのお医者さんの先生がいて、先生の家が代官山にあって、そこ行ったときに、あぁやっぱ医者はこんなとこ住むんだな、と思って。
――(笑)。
常田:個人情報バリバリの歌。
和田:それがこんなおしゃれなね。
――強引にまとめますけど、単純に歌詞とメロディってところから、いかようにでも曲が膨らんでいく、っていう。
和田:ほんとに。ルールなんてないですからね。コードなんていっぱい使ってもいいし、逆に1個か2個でもいいわけだし、ほんとに歌詞だって自由だし、もうほんとに自由っていうのが音楽の素晴らしさ。
大橋:そうそう。もしこの中に将来的にプロデューサーになりたいな、っていうプロデューサー志望の方がいたら、私が僕がサウンドを作るんだ、っていうよりも、もっと広く。サウンド作るのって、アレンジャーって仕事もあるからね。アレンジャーとプロデューサー違うから、やっぱりプロデューサーっていうのはさっきも言ったように、例えばビートルズの4人のやりたいことをね…。
和田:そりゃ無理無理無理、って言わない。よーしやってみようぜ!っていう。
大橋:だからその個人の能力みたいなものをどこまで見極めて、最大限伸ばしてあげられるか、みたいなものがきっとプロデューサーの仕事なんでしょうね。
常田:詞曲があれば究極いらない職業なのを、ちょっとこうしたら、って外から。
大橋:そこでひとつね、わかってもらえたとしたら、そのプロデューサーに対して絶大な信頼を置くわけじゃないですか、アーティストは。やっぱりなんか不安定な仕事だし、これで正しいのかな? もっといいメロディあるんじゃないかな? もっといい歌詞あるんじゃないかな?って思ってる中で、プロデューサーに最後聞いてね、いいと思うよ、って言ってもらえたら、あぁこれ正解なんだ、って。だからそういう意味では、そういう心の支えになるような存在ではあるでしょうね。
和田:ほんとそのとおり。
――いい感じでまとまりましたね、ありがとうございました。

キーンコーンカーンコーン

常田:ちゃんとチャイム鳴りましたね。
和田:チャイム鳴った。
――ほんとにいい授業になったと思います。
和田:ほんとにみなさん音楽たのしんでください。
――ありがとうございました。

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