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「音楽のROOTS~斉藤和義とフジファブリック~」

1月11日開催される「楽演祭」のライブ前に斉藤和義さんと山内総一郎(フジファブリック)さんを招いて昭和音楽大学・短大在学生向けに行われる講義で司会を担当する音楽ジャーナリスト・柴那典氏が語る斉藤&山内両氏に見る「音楽のROOTS」とは

KAZUYOSHI SAITO
KAZUYOSHI SAITO

音楽というのは、決して、それ一つだけで成り立っているものではない。

花に枝葉があり根っ子があるのと同じように、どんな曲にも、それが生み出される背景がある。どんなアーティストも、全くのゼロから作品を作り上げるわけではなく、憧れの対象や愛する音楽から刺激を受け、それを自分なりのフィルターを通して取り入れることで新たなオリジナルを創造している。メロディ、アレンジ、サウンド、その一つ一つのディティールに影響が染み込んでいる。

よく言われる「ROOTS(ルーツ)」という言葉は、決して子供の頃や思春期の懐かしい体験だけを指すのではなく、一人のアーティストを支えるように張り巡らされた沢山のカルチャーの「根っ子」を指し示すものなのである。

そういう意味では、斉藤和義と山内総一郎には、世代は違えど共通するところは沢山ある。共にビートルズが大きな存在であるということ。ギターを愛してやまない、根っからのギタリストであるであるということ。何気なくフレーズを弾いているように見えて、その「鳴らし方」にとても強いこだわりとセンスがあるということ。

これまでにあった二人の交流も数知れない。

初の共演は2005年に行われたフジファブリックの自主企画イベント。そこでは山内(総一郎)のリクエストで斉藤和義の名曲「FIRE DOG」をセッションしたこともあった。志村正彦の急逝の後、山内総一郎が初めてボーカリストとして「会いに」を歌った2010年のライブ「フジファブリックpresents フジフジ富士Q」でも、多くのゲストアーティストと共に斉藤和義はステージに立っていた。その後に行われた斉藤和義の全国ツアーにサポートギタリストとして山内総一郎が出演したこともあった。きっと、そうした数々の共演を経て、先輩・後輩としての関係性も強く根付いているのだろう。

SOUICHIRO YAMAGUCHI
SOUICHIRO YAMAGUCHI

斉藤和義もフジファブリックも、「続けていく」ことで様々なものを得てきたアーティストである。デビュー直後に華々しい成功を手にしたというよりも、40代に入ってから絶頂期を更新していった斉藤和義。志村正彦を失った後もバンドを続けていくことを決意し、デビュー10周年で武道館公演を実現したフジファブリック。そのストーリー性もさることながら、キャリアを重ねてきた背景にはデビュー後に様々な音楽から刺激を受け影響を吸収してアーティストとして成長を続けてきたこともあるはずだ。

2017年にも、斉藤和義はデビュー25周年のアニバーサリーイヤーに突入した。山内総一郎は初の弾き語りソロワンマンライブを開催、舞台への楽曲提供を行うなど、新たな領域での活動を開拓している。

本ライヴイベント「楽演祭」とは、音楽の楽しさを学び、体感できるライブ・エデュテインメント。今回、ライブ前に昭和音楽大学・短大在学生向けに行われる講義では、二人にデビュー前から最近に至るまでの影響源となった音楽のルーツを挙げてもらい、それについても語り合ってもらう予定だ。ステージでの息の合ったセッションだけでなく、二人の「永遠のギター少年」の対話からも、きっと沢山のことを感じ取ることができるはずだ。(音楽ジャーナリスト・柴那典)

柴 那典/しば・とものり●1976年神奈川県生まれ。音楽ジャーナリスト。ロッキング・オン社を経て独立、雑誌、ウェブなど各方面にて音楽やサブカルチャー分野を中心に幅広くインタビュー、記事執筆を手がける。主な執筆媒体は「AERA」「ナタリー」「CINRA」「MUSICA」「リアルサウンド」「ミュージック・マガジン」「婦人公論」など。「cakes」と「フジテレビオンデマンド」にてダイノジ・大谷ノブ彦との対談「心のベストテン」連載中。著書に『ヒットの崩壊』(講談社)『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』(太田出版)、共著に『渋谷音楽図鑑』(太田出版)がある。
ブログ「日々の音色とことば」http://shiba710.hateblo.jp/ Twitter:@shiba710

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