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【楽演祭】講義全文公開④

⑦ 音楽という楽しさ

詩音:斉藤さん、山内さんは、ジョン・フルシアンテじゃないですけど、名前とコンセプトをまったく変えて、今からデビューするとしたらどういうのをやりたいとかありますか? 

山内:パートでいうと、ドラムで一回デビューしてみたいなっていうのはありますね。
〝リンゴ山内〟(笑)。まぁでもそれぐらいですかね。僕と斉藤さんはバンドとソロシンガーっていう違いなんで、それを入れ替わっても面白いのかなってありますけど。でもバンド組めないですよね? 斉藤さんは……(笑)。
斉藤:いや、そんなことないですよ(笑)。ジャニーズとか入ってもいいんじゃないかな(笑)。
山内:あ〜いいですね(笑)。
斉藤:ね。若かったらそういうね、バク転とかしたかったですよね。
山内:(笑)

柴:斉藤さんどうですか? 全く新しい名義で、自分の名前を全く出さずに新しいプロジェクト始めるとしたら?

斉藤:そしたらまず歌は唄わないですね。自分の名義でやっていると、歌も唄いたいし、唄わなきゃいけないしなぁとは思うんですけど。家で遊びで曲を作る時は、ほとんどインストを作ってる。ギター弾いたり、シンセで遊んでたりして、それを録音して、なんじゃこれ、みたいなインストを作っていますよね(笑)。まぁ絶対にヒットはしないだろうし、誰もわからないだろうな、と思うけど。でも一度、いい加減な1人ジャムセッションが延々と続く、みたいな曲を作って、それをそのまま出したいですね。

柴:それって、仕事と遊びで分けて作っているんですか?

斉藤:分けてはないです。その中で、ここ良かったなっていうところを膨らまして曲にしたりとかもするし。前に一回、ファンクラブ・グッズとして、それをそのままCDに焼いてね、配ったんです。そうしたら次の年からファンクラブの人数が激減したんですよ(笑)。
山内:激減?(笑) それが理由なんですか?
斉藤:そうだと思うんだよな。これはひどいと思ったんじゃないですかね?(笑)
山内:僕がよくやるのは、スマホで録るといい音っていうか、独特な音で録れるんですね。結構好きな音なんですよ。斉藤:うんうん。

詩音:ボイスレコーダーでですか?

山内:そうです。家でドラムを叩いたりとかして、小音量にして叩いて、それをどこが一番音がいいかなって探して、適当に遊んでるのを流しながらまたそれに合わせてギター弾いたりとかして。
斉藤:うんうん。
山内:だから何て言うか、真っ白な画用紙いっぱい用意してもらってるような感じというか……。曲にする時は、それらをまとめるので気合いがいりますよね。
斉藤:そうだね。それがもう面倒くさいんですよ。もう、こんなもの、ジャムの垂れ流しでいいじゃないかと思うんだけど。でも、ちょっと再現できない感じなんですけどね(笑)。

詩音:自分もデビュー前は、遊びで楽しくてただ曲を作っていた、っていう感じですけど、デビュー後はやっぱり、曲書かなきゃとか考えたりして……。最初の音楽に対する初期衝動というか、そんな気持ちを持ち続けるためには、どうやっているんですか?

山内:僕は逆に、デビューする前の方がもっと、焦燥感に駆られてましたね。逆にちゃんとしたものを作らないといけないんじゃないかっていうような気持ちが強かった。でも、こういう仕事やらせてもらってると、自分が元気になったりとか、自分がすごくやる気になったりとかすることって、やっぱり遊んでいる延長線にあるんだということに気づいたんですよ。今の方が全然自由に遊べてるような気がしますね。「どうしたらデビューできるんだろう?」とか「どうしたら仕事に就けるんだろう」っていう時っていうのは、何かの型に自分をはめようっていう時期なんですよね。でも、自分がどんな特徴があるのかを知ることが大切なのかなと。だからこそ自分を知るために遊んでいくことが、やっぱり必要なんじゃないかなとは思いますけどね。

詩音:すごく大切なことですね。
柴:斉藤さんはデビュー前とデビュー後で、より楽になったというのはありますか?

斉藤:どうですかね……。デビュー前はオリジナル曲はそんなになかったんですよね。5曲ぐらいしかなくて。それで、テレビ番組のオーディションみたいなのに応募したら、その5曲で5週連続勝ち抜いてしまって。それがきっかけで事務所の人に誘われたんですけど。で、「何曲ぐらい持ってんの?」って言われたんで、「50曲ぐらいですかね」って適当に嘘ついて(笑)。それで事務所入ったんです。
山内:嘘ついて(笑)
斉藤:そうそう。当然、すぐ(曲が)ないのはばれるわけで。それですぐにはデビューできず、1年ぐらいずっとライブをやりながらそこで曲を増やしていこうっていうことになったんですけど……。デビューしたと同時に作曲を始めてたに近いぐらい感じなんで……。あと、本当はこういう音楽がしたいけど、世に出すにはこっちのほうがいいんだろうな、というのも、あるようなないようなって感じで。俺は、人があんまり理解できないようなマニアックなもの出したい気持ちもないし、聴く側としても、難解な音楽とかは聴いていても辛いし、あまり聴きたくもないし。どっかロックでありたいなみたいなのはあるけど、あんまりそういう、やりたいことと、やらなきゃいけないこと、みたいな分け隔ては、自分の中ではあんまりないですかね。

柴:斉藤さんの話を聞くと、いわゆる売れ線というか、こういうことをやったらヒットするんじゃないか、みたいなことを頭の隅に置きつつ、それといい距離を取って自分のやりたいことを追求してるようなバランスを感じるんですけど。山内さんはそういうバランスはどうですか?

山内:なんでしょう……。僕らの場合は、バンドなので個人個人の感性だったり、センスっていうのがあって、その集合体だったりするので。他のメンバーがいわゆる売れ線と思ってても、僕からすると全然難解だったりとかする時もある。でも、そういう仲間がいると、それぞれの価値観をぶつけ合うというか、目の前に置いてみて、そこで何かが生まれるかなっていうような楽しみがあるんですよね。だから純粋に自分だけのものでやるっていう感じではないんですよ。全員の人間性を混ぜ合わせるみたいなとこがある。そこから出てきたところで、あ、これはどんな感じだなっていうような、ある意味、受け身になってるところはありますね。

⑧ 音楽はどこにでもある

柴:そういえば山内さんは「最近気になる音楽」でブレイク・ミルズ、ロン・マイルズを挙げていますが、これは何がきっかけですか?

山内:ブレイク・ミルズは……。
斉藤:ギタリストだよね?
山内:そうです、そうです。めちゃめちゃいい、ライ・クーダー・モデル使っているギタリストなんです。フジファブリックのギターのモデルを出しているフェンダーというメーカーのUSA版のオフィシャルYouTubeのチャンネルで見ていて、「いい音だな〜」と思って。そこからYouTubeをいっぱい辿っていったり、アップルミュージックでも聴いたりとかして知っていったんです。ロン・マイルズは、ドラムがブライアン・ブレイドっていう、黒人のものすごいカッコいいドラマーいるんですけど……その人がロン・マイルズのアルバムに参加してるってことで知ったっていう……。それまでロン・マイルズ自体はそんなに聴いたことはなかったんですけどね。ちょっとジャズっぽいといったらジャズっぽいですけど、むちゃくちゃいい感じの音楽だなぁと。

柴:そうですね、たしかにジャズの世界って、この人がプレイヤーで超カッコイイとか、気になる人ができると、その人を追っかけていって、更にいろんな人と共演しているのを聴いて興味が広がっていくみたいなのありますよね。

山内:そうですね、ありますね。

柴:斉藤和義さんの、グラント・グリーン。これはどういうふうに知ってどういうところが?

斉藤:これもね、YouTubeですかね。YouTubeを見てると、あなたへのおススメみたいなの右に出て、次々とランダムに流れるじゃないですか。僕は寝る時に絶対音楽がないと寝れないのでずっと流してたら、もう眠いってなった時にかかり出したのがこれで、なんだこれカッコいいと思って、慌てて飛び起きて。画面を写メして。

柴:そっか、ランダム配信だから、その時点で写真撮らないと。

斉藤:そうですそうです。
山内:ラジオ状態なんですね、だから。ラジオ流してるような状態ですね。
斉藤:そうそうそう。iTunesとかにも世界中のラジオが聴けるやつあるじゃない? そこで、アメリカのなんだっけな、カレッジチャート的なチャンネルがあって、そこがすごく自分のツボにはまる曲ばかり1日中流してるところがあるんですよ。聴いていて気になる曲があると、そこのホームページにいって何時何分頃流してたのは誰のこの曲だというのをチェックして買ってたりしてました。でも、そのチャンネル、その放送局は資金不足でつぶれちゃったんですよね……。
山内:悲しい結末……。
斉藤:悲しい。なんか大学の中にあった、たぶん学生がやってる、すごい少人数でやってる放送局みたいでしたけどね。

柴:でも、そのカレッジでやってる人も、まさか日本で斉藤和義が聴いてるとはみたいな(笑)

山内:そうですよね。
斉藤:でもそこはほんとに、そこで流しているやつとかは結構、後々大ヒットしてたりしたので……。
山内:早いんですね。
斉藤:うん、早い。

柴:ちなみに、そのカレッジチャートのラジオってどうやって知ったんですか?

斉藤:それはたまたま。いろいろジャンルが分かれているでしょ? ジャズとかロックとかオルタナティブとか……。で、目についたものをクリックして聴いて、たまたま見つけた感じですかね。
山内:僕、あの、新大久保のコメダコーヒーのUSEN好きです(笑)

柴:へぇ〜!(笑)

斉藤:あそこすごいみたいね。
山内:え、知ってるんですか?
斉藤:コメダコーヒーとあとどこだっけ? 最近……コメダじゃなくてドトールかな?  どっかは、選曲がめちゃめちゃいいって聞いたよ。
山内:だから僕も、それを目的に行ったりしますよ。

詩音:新大久保のコメダだけなんですか?

山内:そうですね。新大久保のドンキホーテの中にあるコメダなんですけど。SHAZAMってアプリわかります? あれよく、コメダのスピーカーにスマホを向けている人いたら俺です(笑)。

詩音:(笑)。
柴:一応学生の皆さんに説明すると、SHAZAMっていう、スマートフォンのアプリがあって、スピーカーでかかってる音に向けると、誰で何の音楽かっていうのがわかるんですね。

山内:そうそう。どういうシステムなのかわかんないけど、かなりの確率で教えてくれるんですよ。
斉藤:ドトールもBGMに力を入れてるって聞いたなぁ。どっかの店だけか分かんないけど、有名なDJさんだかを雇ってるとかなんかで、そういうのBGMをかけるようにしだしたって。

柴:僕も聞いたことあります。ドトールではないですけど、スーパーの西友が、すごく選曲に力入れてるって。しかも、わりとどっちかっていうと、ボサノヴァとかスウェディッシュポップとか、ちょっとおしゃれな音楽をかけてる。

山内:コメダの選曲もフランスの有線っぽいんですよね(笑)。いいんです、なんか。
斉藤:へぇ。でもお店とかは、やっぱBGM重要だもんね。
山内:あとお店で聴くと聴き方変わったりすることもないですか? なんか家で聴いてるのと、やっぱり聴く場所が変わるごとによって聴こえ方が全然変わってくる。
斉藤:あるあるある。こんなカッコよかったっけ、ていうのもあるしね。逆に高級なお店だって聞いたのになんかすごい適当な有線選んで、微妙なJ-POPかけてるなあって、そういう……(笑)。
山内:あんまり言うたらダメなんですけど、僕、そば屋のジャズって嫌いなんですよ。
斉藤:わかる。
山内:そば美味くても……。ちょっとそれは安易じゃないかなと思う。

柴:それ、銀杏ボーイズの峯田くんが、全く同じこと言ってて。

山内:へぇ〜! あれやったらもう、J-POPのの琴バージョンの方が全然いいだろうみたいな。それ流しておいて欲しいなって。
斉藤:わかる。
山内:あっちの方が感じが出るのに、なにジャズ流しちゃって、みたいな(笑)。
ちょっとそこでマイナスポイントになるぐらい(笑)。

詩音:ちょっと味も変わっちゃいますかね(笑)
柴:お二人の話に共通してるのは、なんとなく流れているのを聴いて、パッと気になった、あ、これなんだ?ってなる瞬間があるんですね?

山内:ありますよね。
斉藤:うん。

柴:何が?っていうのはもう、全然感覚的なものですけど、それで、ちゃんと誰がやってて、何の曲かっていうのを調べてもう一回聴けるようにするのは、後々自分の好みとか、センスとか、そういうのをなんかわかるようになるというか?

山内:そうですね。自分、ここに反応するんだっていう、自分を知るという感じですね。自分のことはよくわかんないので。「これええなぁ」と思ったら、俺こういう人好きなんだなっていう……。今はすぐ調べられますしね。

詩音:SHAZAMで出てこないのもありますよね?

山内:あります。あ、終わったーみたいな(笑)。頼むからもう隣の人静かにしてくれー、みたいな(笑)。しゃべるなーっていう(笑)。

※次回ラスト! 2月28日公開!

撮影/コザイ リサ

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